2008/03/24 日記<半七捕物帳>
半七捕物帳
『半七捕物帳』 (はんしち-とりもの-ちょう) は岡本綺堂作の連作時代小説。捕物帳ものの嚆矢とされ、日本における時代小説・探偵小説草創期の傑作である。大正6年博文館の雑誌「文芸倶楽部」で連載が始まり、大正年間は同誌を中心に、中断を経て昭和9年から昭和12年までは講談社の雑誌「講談倶楽部」を中心に、短編68作が発表された。ほかに登場人物が関連する長編1作を含めて計69作とする場合もある。
かつて岡っ引として数々の難事件・珍事件にかかわった半七老人を新聞記者の「わたし」が訪問し、茶飲み話のうちに手柄話や失敗談を聞きだすという構成で、明治時代にあって旧幕時代の風俗を回顧しながら探偵小説としての謎解きのおもしろさを追及する趣向の小説である。本格推理、怪談風味、サスペンスなどヴァラエティも豊か。何よりも古さを微塵も感じさせない引き締まった文章がすばらしく(都筑道夫曰く「まるで今年書かれた小説のようだ」)、出来不出来がほとんど見られない(北村薫曰く「全部をお読みくださいと言うほかない)。捕物帳の元祖にして今なお凌駕せない最高傑作といわれるゆえんである。
厳密な時代考証や綺堂自身の伝聞、記憶などから江戸時代の江戸の町を小説の上にみごとに再現した情趣あふれる作品で、時代小説としてのみならず風俗考証の資料としても高い価値を持つ。また明治時代の「現代人」を媒介に、江戸時代を描写する遠近法的手法も見事である。
探偵小説としては、推理を偶然に頼りすぎたり、事件そのものが誤解によるものだったりと、謎解きのおもしろさは左程でないといわれるが、本格性の高い作品も何作か見られる。綺堂はシャーロック・ホームズを初めとする西洋の探偵小説についての造詣も深かった。